マンゴーとライチは今が旬 日本向け出荷が最盛期

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豊富な農産資源に恵まれた台湾は「フルーツ王国」とも言われる。初夏を迎える5月から6月にかけては、南国の太陽に培われた様々なフルーツが旬を迎える。特にマンゴーとライチはこの時期を代表する看板商品で、美味しく高品質な果物として日本へも輸出されている。今回は台湾の果物輸出業者である傑農合作農場の協力の元、高雄と屏東のマンゴー、ライチ農家を尋ね、日本への出荷状況を視察した。

 

出荷目前の愛文マンゴー。
出荷目前の愛文マンゴー。

 

高雄市大樹区は高雄中心部から車で40分程度の丘陵地帯。大樹区果樹産銷第32班鄭盈琅さんが手がけるのは玉荷包と呼ばれるライチ。通常、ライチの木はそのままにしておくと2~3メートルの高さまで成長すると言う。しかしそれではライチの収穫に不便が生じてしまうため、枝を曲げて高さを抑える「矮化(わいか)」と言う作業を行ない、生産効率を上げているのが一般的だと言う。また、ライチ栽培には水はけの良い場所が最適とされており、実際にこの農園も柔らかい地盤の傾斜地に作られている。

 

大樹のライチ畑から高雄市中心部を望む。眼下に広がるのがライチの木々。
大樹のライチ畑から高雄市中心部を望む。眼下に広がるのがライチの木々。
収穫期を迎えた玉荷包(ドラゴンライチ)。
収穫期を迎えた玉荷包(ドラゴンライチ)。
選別作業風景。朝収穫されたライチは、午後には箱詰めされる。
選別作業風景。朝収穫されたライチは、午後には箱詰めされる。

 

ライチのシーズンは非常に短く、毎年5月下旬から6月上旬の二週間前後。玉荷包は他のライチと比べて肉厚で、ジューシーなのが特徴。癖のない甘さは病み付きになる。冷凍庫で凍らせてシャーベット状にして食べても美味しい。ただ、台湾では身体が火照りやすくなるといわれており、食べ過ぎは禁物。ゆっくりと、そしてじっくりとライチの美味しさを味わうのが、一番美味しい食べ方だ。

 

(左二人目から)傑農合作農場詹光栄さん、大樹区果樹産銷第32班鄭盈琅さん、黃宗敏さん、台南担仔麺黄宗民代表取締役。
(左二人目から)傑農合作農場詹光栄さん、大樹区果樹産銷第32班鄭盈琅さん、僑務委員黃宗敏さん、有限会社集集黄宗民社長。

 

屏東県枋山郷は台湾南部、恒春半島の西側に位置する海と山に挟まれた地域。ここでは愛文マンゴー栽培が盛ん。枋山郷代表会陳徳昌代表が手がけるマンゴー農園では、一つ一つのマンゴーが紙の袋に覆われている。台湾では傷から守ったり、色のムラをなくす為に使われる。この紙袋は品種によって使い分けられていると言い、マンゴーそれぞれの特徴を理解した上で、最適な袋が使われている。愛文マンゴーには「愛文専用袋」と書かれた紙袋が被されていた。

 

屏東県枋山のマンゴー園。
屏東県枋山のマンゴー園。

 

一本のマンゴーの木からは、一年で100個前後のマンゴーが収穫できると言い、豊作の年には、それ以上のマンゴーが実る事も。また、今年の春先は好天に恵まれたため、収穫量も多く、味も良いと言う。日本での販売を手がける有限會社集集黃宗民社長は「(輸出用の)果物は厳選されたものだけを扱っている。高品質のものだけが輸出されるから自信もある」、「日本のマンゴーと比べても、味や香りが全く違う」と、台湾マンゴーの魅力を話す。傑農合作農場の詹光栄さんも「日本へ輸出される果物は、台湾国内でも一級のものだけが輸出される。外観も綺麗なものが選ばれる」と、味と香りには絶対の自信を持つ。

 

熟れていないマンゴーの色は緑と紫。通常は紙袋が被されている。
熟れていないマンゴーの色は緑と紫。通常は紙袋が被されている。
日本向けマンゴー。
日本向けマンゴー。

 

早朝から収穫された果物は、その日のうちに選別、箱詰めされ、薫蒸(くんじょう)と言う加熱処理を行なう。処理が終了次第、迅速に日本へ輸送される。今回取材したマンゴーの収穫時の糖度は13~14度程度となっており、農業委員会が定める12度より数値が高かった。日本で販売される頃には、一層熟して15度程度にまでなると言う。

 

太陽の恵みをふんだんに受けた台湾のフルーツは、色鮮やかで、味も濃厚。今が旬のマンゴーとライチは、特別な日に、ちょっぴり贅沢な気分を味わいたい時に最適なフルーツ。一年に一度の機会に、堪能してみてはいかがだろうか。